古い話で恐縮ですが、2023年4月8、9日(土日)、メディアシップ10周年記念の春航祭2023 が開催されました。春航祭イベントの中で、巻き爪・陥入爪と爪白癬について一般向けセミナーをさせていただきました。そのためかどうか、爪の問題で当院を受診される患者さんが増えています。
2023年の1年間で、巻き爪・陥入爪で来院された患者さんは164名。保険外になるワイヤ治療は、役に立ちそうな場合に、ご説明のうえご希望されたときにのみ行いますが、46名の方に行いました。
ワイヤ治療は、痛みもほとんどなく、巻き爪の矯正に有用な方法です。しかし、一度矯正に成功してもまた再発することはよくあります。「爪が巻く」のには理由や原因があるわけで、その辺の対策が必要なのは言うまでもありません。
巻き爪予防対策や軽い陥入爪の自己治療方法は、当院HPの巻き爪・陥入爪の解説をご参考になさってください。ただ、お気軽にお早めに受診していただいたほうが、その後の経過が良いようです。
爪白癬については、2023年の1年間で治療を行った方は83名(2023年以前に治療開始した方も含む)。その6割以上のひとが、抗真菌剤内服治療を行いました。
爪白癬の場合、多くの場合の治療の第一選択は抗真菌剤内服です。半年後の治癒率は80%くらいといわれています。しかし、肝機能障害があるひと、併用できない薬をすでに内服されているひと、副作用チェックの採血ができないひとなどは、抗真菌剤内服はできません。また、薬の副作用などで、せっかく始めた治療を中止しなければならないこともあります。
爪白癬を塗り薬で治すのは容易なことではありません。比較的軽い爪白癬でも、1年後の治癒率は20%程度にとどまるといわれています。
爪白癬は、治療により爪が生え変わるとともに治っていきます。したがって時間がかかります。そのためか、途中で治療を中断してしまうかたが結構多いのは残念です。
治療のモチベーションを保ってもらうためにも、治癒率を上げるためにも、当院では、爪削りを積極的に行っています。もちろん、削りすぎ切りすぎで爪が周囲の皮膚に食い込んで痛くならない範囲で。