おうち時間の楽しみとして、長湯をするひとも多いと思いますが、それが誘因となって緑膿菌性毛包炎が発症することがあるので、ご注意を!
赤い斑点がいくつもお腹や太ももあたりに突然でてきて、ビックリして受診される方がいらっしゃいます。斑点の一つ一つをよく見ると、中心に毛穴があって小さい膿疱になっているところもあります。膿疱の細菌検査で緑膿菌が検出されれば、緑膿菌性毛包炎の診断確定です。誘因となった生活習慣を改め、適切な塗り薬を塗ればすみやかに治っていきます。
毛包炎の原因細菌としては、黄色ブドウ球菌の場合が圧倒的に多いと思われます。それに対して緑膿菌は弱毒菌とみなされていますが、塩素にも負けず、お風呂の温度で増殖しやすく、湿ったところを好むので侮れません。お湯に長く浸かることでふやけた皮膚、開いた毛穴、あるいはアカスリなどによる皮膚表面の荒れは、緑膿菌に増殖場所を提供することになります。
さくらひふ科では、最近3年間に延べ12人の患者さんを緑膿菌性毛包炎と診断して治療しました。そのうち、長湯または半身浴がかかわっていた方は4人、ナイロンタオル(アカスリ)がかかわっていた方は4人いました。
さくらひふ科の患者さんの4分の3は女性ですが、緑膿菌性毛包炎12人中11人が女性でした。20歳代3名、30歳代3名、40歳代3名、50歳代3名と年齢は見事にばらけていました。受診月もばらばらで、夏だから多いというわけではなさそうでした。
緑膿菌性毛包炎は、一見、夏場によくある毛虫皮膚炎や虫刺されのような華々しさですが、当然のことながら、皮膚炎や虫刺されの治療薬(ステロイド外用剤)を使うとかえって増えていきますので、しっかり区別する必要があります。
写真:泡たてネット(これで肌を擦らないでくださいね)